CR Circuit

実験課題:交流回路(全2回)


実験課題「交流回路」の実験手順について書かれています。

注意:あらかじめ、実験に必要なデータ記録用紙、グラフ用紙等を準備してお くこと。


実験

コイルやコンデンサをもつ回路では交流電圧に対して電流の位相が進んだり 遅れたりするが、純抵抗の交流特性は電圧と電流との間に位相差がなく周波 数の影響がないという特徴がある。したがって以下の実験で、抵抗の両端の 電圧波形と電流波形は位相差がなく相似であることに留意する。

注意

実験1:コンデンサの交流特性

R=470Ω、C=0.01μFとして、図1(a)に示す回路を作成し、ファンクションジェネ レータ(交流電源)によって、周波数が 1kHz、10kHz、および 100kHz で振幅 が約 5V の正弦波交流電圧を印加(回路に電圧をかけること)して、入力波形 および出力波形を記録せよ。 さらに、周波数、電圧、電流、コンデンサの容量(容量以外は測定値を用いる) が下式を満足するか確認せよ。
測定結果からコンデンサのインピーダンス(容量リアクタンス)を未知なもの として計算し報告せよ。なお、レポートでは導出過程を記述すること。


図1:CR直列回路

実験2:CR直列回路の正弦波応答

  1. R=100kΩ、C=0.001μFとして図1(b)に示す回路を制作し、入力信号 v と してファンクションジェネレータによって振幅約 5V の正弦波交流を印加す る。周波数を 1kHz〜100kHzの間で変化させ、入力 v(t)と出力 Vr(t) の振 幅および位相差を10点程度測定し、その結果を、振幅比と位相差を縦軸に、 周波数(の対数で底は10)を横軸にとったグラフにプロットせよ。理論計算 による振幅比と位相差を実線で、実験値は点で示せ。なお用紙は市販の片対 数グラフ用紙を用いよ。
    注意:実験は1点測定するごとにグラフ用紙にプロットし、グラフ曲線が正し く描けるように測定点の間隔が広いところは測定を追加し、密なところは測定 しないようにすること。
  2. 上記の測定で、周波数の違いによる変化がよくわかるように適切に選ん だ3種類の周波数について波形グラフを示せ。波形グラフは振幅、周期、位 相差が定量できるように描くこと。
    注意:入力波形が同一形状・位置になるようオシロスコープの横軸を調整し、 出力波形の変化が3種類を比較してすぐにわかるように工夫すること。以下同 様。

実験3:CR直列回路のパルス波応答

  1. 図1(b)の回路で、Cは0.001μF、Rを1kΩ、10kΩ、100kΩと変化させ、 ファンクションジェネレータにより v として振幅約 5V で1kHz の方形波を 印加して、v(t) と Vr(t)の波形を観察、記録せよ。
  2. 図1(b)の回路で、C=0.001μF、R=100kΩとし、方形波の周波数を 1kHz〜 25kHzの間で変化させ、v(t) と Vr(t)の波形を観察、周波数の違いによる変 化が良くわかるように適切に選んだ3種類の周波数について波形グラフを記 録せよ。
  3. 図1(a)の回路で、上の1.と同様の実験を行い、v(t) と Vr(t)の波形を 観察、記録せよ。
  4. 図1(a)の回路で、上の2.と同様の実験を行い、v(t) と Vr(t)の波形を 観察、周波数の違いによる変化が良くわかるように適切に選んだ3種類の周 波数について波形グラフを記録せよ。

検討課題

  1. コンデンサの容量の表示方法について調べよ。
  2. R と C、R と L の直列回路について、周波数を横軸にとりインピーダ ンスを縦軸にとったグラフを描き、考察せよ。
  3. 図1(a)は積分回路と呼ばれている。方形波はある周期で、正と負の一 定値(定数)繰り返すような関数波形である。それならばその積分値は一時 式(直線)の組合せ(三角波)となるはずである。
    1. 実験でほぼ三角波とみなせるのは、どのような条件であったか。
    2. 一般にこのような積分回路で理想的な三角波とならない理由と、 理想的な三角波とするための方法について考察せよ。(演算によら ない、水槽と小容器のアナロジ的説明でもよい)
  4. 2.9節(R,C,Lの交流特性)、2.10節(基本的な交流回路の挙動と周波数 特性)の解析を参考にして、RLC並列回路について解析せよ。
  5. 過渡応答波形のt=0における接線から回路の時定数が求められることを 説明せよ。また、実験3について、時定数の理論値を求め、実験ん結果と比 較せよ。

2000.04.01.
2001.05.13.(最終更新)
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