Icom ID-1 Report

アイコム デジタルトランシーバ ID−1使用レポート

第9回:レピータ局,アシスト局の設置


これまでのアナログレピータ局とデジタルレピータは, 中継する電波の形式が異なるだけで,基本的な動作は同じ中継装置 です.

ただ,デジタルレピータは他の局と連携してレピータ間でもデータ を中継するところが異なります.

ここでは端末側の運用方法ではなく,レピータやアシスト局の設置・ 運用方法について少し書いてみたいと思います.

レピータ局

レピータ局の設置の基本は,直接交信できない局同士を中継によっ て交信できるようにすることでしょう.特にデジタル通信では,信 号強度がある程度強くないと,通信そのものができません.その意 味で,レピータ局は多くの局からアクセス可能な場所に設置すべき です.使用周波数帯が1200MHz帯ということもあって,混信は少ない ものの,建物の影になるとレピータ局が近くでも交信することがで きません.

結局はレピータのカバーエリア内に人口が多いことが条件になるで しょう.

アシスト局

レピータ局とレピータ局と中継するのがアシスト局です.デジタル レピータ局とともにアシスト局の概念が生まれました.つまり,レ ピータを同時に2局指定し(アップリンク局とダウンリンク局), レピータ間でもデジタル中継を行います. これらの無線によるデジタル中継ができる範囲(レピータ,アシス ト局の集合)を「ゾーン」と言います.

D-STARの初期段階ではレピータ局とアシスト局は同じ場所にそれぞ れ設置されていますが,アシスト局は本来お互いに見えないレピー タエリア間を結ぶため,高い山の上等に設置すべき無線局です.

ゲートウェイ局

D-STARは無線でも中継できないゾーン間はインターネット回線を利 用して接続します.そのため,各ゾーンに1局だけインターネット 回線に接続する局があります.それがゲートウェイ局です. ゲートウェイ局には,ゲートウェイサーバが設置され,ディジタル データの中継を行います.ゾーン内からデジタルレピータを使って ゲートウェイ局まで到達した接続要求はインターネットを会して, 他のゾーンのゲートウェイ局に中継し,さらに目的のレピータ局へ 無線中継されます.

インターネットとの接続

ゲートウェイ局は他のゾーンのゲートウェイ局だけでなく,インター ネットへの出入口にもなっています.ゲートウェイ局にをデフォル トゲートウェイとして設定することで,ゾーン内のすべてのDDモー ドのパソコンはインターネットへ接続できることになります.

IPアドレスの管理

DDモードでは固定のIPアドレスが使われます.デジタルレピータを 使わず直接1対1通信を行う場合には,どのようなIPアドレスに設 定してもよいのですが,共同して使うレピータでは,使用している IPアドレスが重複しないようにしっかりとしたIPアドレスの管理 が必要です. もしIPアドレスが重複すると,ネットワークが混乱してしまいます.

このIPアドレスの管理は,JARLが行う予定です.

レピータ局・アシスト局の設置例


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2004.03.23.(初版作成)
2004.03.26.(最終更新)
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